
「質の高い教育をすべての人に無料で提供する」といわれると、大規模な予算と人的資源を投入した壮大な国家事業とか、某国大統領の公約かなにかかと思ってしまいます。実はこれは、サルマン・カーンという33歳の男性が一人で始めて、ほぼ一人で推進している仕事の基本理念です。
世界の教育を変えるといわれるほどの注目を集めていますが、仕組みはいたって簡単。YouTubeにアップした10分程度のビデオ1本がひとつの授業。手書きの文字と図表の黒板風映像とカーン氏自身の説明音声のみ。飾り気なしの素っ気ないビデオです。でも、要点を的確にまとめて、分かりやすく教えてくれます。録画する場所は自宅のクロゼット、機材はパソコンとビデオカメラ程度。すでに二千本近くの授業ビデオがあり、一日の平均視聴回数が十万に迫る人気サイトで、“生徒” の数は数十万人に達したといわれています。
数学から生物や化学などに拡大を続けていますが、注目すべきは歴史です。まだフランス革命などの十数本のビデオだけですが、世界史全部をやるぞ!と宣言しています。究極的な目標は「数万本のビデオであらゆる分野の授業を網羅した仮想学校の設立」だそうです。
理想やアイデア、夢があっても実現するのは大変だとか無理だとか言い訳しつつ最初から諦めてしまっていないか!
はい、つい諦めてしまっています。
喝っ!
ですね。